大腸内視鏡 温故知新
院長の松岡です。
内視鏡洗浄消毒器の追加設置
本日早朝から業者さんに入っていただき、2台目の内視鏡洗浄消毒器の設置準備の配管工事を施行して頂きました。毎日胃カメラ検査・大腸カメラ検査を行っていますが、トラブルで洗浄できない事態に陥ると内視鏡検査のサイクルが突然断たれます。航空業界同様、不測の事態は確率的に起こることと想定したフェイルセーフの考え方が大事です。すなわち2台体制で進めることが安定した検査供給に繋がります。今年はさらに非常電源についても着手し、安全に消化器内視鏡検査を行える環境の整備に取り組んで参ります。
逆流性食道炎で胸焼けやげっぷが多い、血便や便通異常(下痢便秘腹痛)、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎を疑われている方、健診異常で消化器癌の有無の精査が必要な方は安心して受診下さい。
型を学ぶ
さて、先週から大腸挿入法の勉強のやり直しを開始しています。先日参加させて頂いた内視鏡学会で工藤進英先生の講演はもちろんのこと、大腸内視鏡のセクションで司会をされていた樫田博史先生、佐野寧先生の大腸検査への並々ならぬ情念や信念を感じました。
全ての「道」に共通すると思いますが、上達の近道は良質な模倣であります。超一流のエキスパートの歩みをたどることで「体系的な良い型」が身につきます。以前から集めていたものや、ここ最近収集したものも含めて学び直しです。
Colonoscopy Insertion Technique method
・Two men method αloop technique Dr.tajima
・One man method hooking the fold right turn shortening Dr.shinya
・Shaft retention and shortening method Dr.kudo
田島強先生、新谷弘美先生から始まった大腸内視鏡検査が、工藤進英先生、岡本平次先生、光島徹先生等のご尽力で挿入法が体系化されました。その後さらに多くの著明な先生方の創意工夫により、比較的容易に回盲部までのファイバーの挿入が出来るようになりました。大腸内視鏡の歴史をたどることで当時の先生方の苦労や発見を、令和時代に気付きに繋げていきたいと思います。学べば学ぶほど基本が大切であり「柔軟な太い幹を持つ」ことの大切さを思い知ります。さらに30年前に既に現在の内視鏡挿入技術のベースが完成され体系化されていたことに驚愕します。しっかり学び、日々皆様へ安全な辛くない内視鏡検査の提供に結び付けて参ります。
文献
Shinya H:Colonoscopy Diagnosis and Treatment of Colonic Diseases Igaku-shoin 1982
新谷弘実:コロノスコピー 医学書院 1989
岡本平次:プラクティカルコロノスコピー 医学書院 1995
工藤進英:大腸内視鏡挿入法 ビギナーからベテランまで 医学書院 1997
光島 徹:汎用内視鏡によるtotal colonoscopyの挿入法:17-30 2000
岡本平次:プラクティカルコロノスコピー 第2版 医学書院 2001
五十嵐正広:五十嵐正広のコロノスコープ 92-111 医学書院 2003
藤井隆広:藤井隆広のコロノスコープ 80-91 医学書院 2003
工藤進英:大腸内視鏡挿入法 軸保持短縮法のすべて 第2版 医学書院 2012