便秘外来
便秘でお困りの方へ
便秘:排便状況が順調に行われていない排便困難、腹部膨満な状態
「たかが便秘、されど便秘」この言葉に便秘治療の概念が集約されていると思います。
便秘の有病率は日本人人口の10%以上と言われています。決して見過ごせない問題であり、人には相談できず悩んでいる方が潜在的に多い疾患の一つです。特に20~60歳代の約半以上の女性が便秘で悩んでいると言われています。また、男女問わず年齢を重ねるとともに、便秘の悩みが増大します。
便秘は命にかかわるような疾患ではありませんが、時に大腸がんや直腸がんが隠れていることもあり油断はできません。また排便は生まれてから死ぬまで毎日の習慣であり、その生理的現象が毎日のシーンで支障をきたすようであれば生活の質がガタガタと落ちます。豊かな生活を送るため、便通異常でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
便秘といっても原因は様々あり、ただ下剤を飲めばいいというものではありません。それぞれの便秘の原因を掘り下げ治療を行う事が大切です。
機能的消化管障害の診断(RomeⅣ診断基準)や、腸内環境(腸内フローラ)も考慮するすることも必要です。
純粋な便秘(排便回数が少ない)のみではなく、1回の排便量が少ない、いきまないと便が出にくい、残便感がある等のいわゆる宿便状態も便秘と考えます。慢性的な宿便が持続すると腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化も認め、様々な症状・疾患の原因となることもあります。
便秘の治療には、食生活、排便状況、便の性状、普段のストレスなどを十分に問診することで便秘のタイプを知り、それに応じた対応が必要不可欠となります。
そのほか、便秘の背景に放置できない病気が隠れていることがありますので大腸検査の必要性が高まっています。
当院では便秘の原因を知ることで、その病態に応じた薬剤治療を行います。内服治療だけではなく、下記の如く食事指導、生活指導も行います。便秘で悩んでいる方はまずはご相談下さい。
便秘の症状
- 排便回数が以前より減った
- 便が硬い、水分が少ない
- 排便時強くいきむ、時間を要する
- 残便感が強い、すっきり出た感じがしない
- 1日1回排便があっても、量が少ない
- 排便間隔が不規則である
こんな症状の方にお勧め
- 「長い間の便秘で悩んでいる」
- 「下剤を使わないと便が出ないし、飲むと下痢になりコントロールが難しい」
- 「下痢と便秘を繰り返す」
- 「すこしずつ下剤が効かなくなってきている気がする」
- 「便通を市販薬に頼っている」
- 「排便後もすっきりせず、残便感が強い」
- 「腹満感が強く、おなかがすっきりしない」
便秘の原因
①大腸がん
②過敏性腸症候群
③食生活、水分摂取状態、ストレス、生活環境の変化、運動不足、睡眠不足
④過度なダイエット
⑤甲状腺機能低下症
⑥パーキンソン病
便秘の種類
急性便秘 | 環境の変化(引っ越し、進学、就職、転勤、ダイエット等)が原因で起こる一過性の便秘 |
慢性便秘 | 機能性便秘(弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘)、便秘過敏性腸症候群 |
症候性便秘 | 基礎疾患が原因となり生じる便秘 |
薬剤性便秘 | 内服薬が原因で生じる便秘 |
器質性便秘 | 大腸がんやポリープなどによる管狭窄や閉塞が原因の便秘。 |
便秘の予防
- 規則正しいバランスの良い食事により腸内細菌叢を整える
乳酸菌ヨーグルト、納豆、オリーブオイル、食物繊維、根菜、豆類、穀類、十分な水分 - 適度な運動
骨盤底筋や腹筋を維持する - 姿勢を良くする
背骨を伸展させる - トイレ習慣の改善
なるべく排便を我慢しない - できるだけストレスを回避する
検査
器質的疾患の除外をおこなうことができる大腸内視鏡検査
治療法
①食事療法
②運動療法
③薬物療法 浸透圧性下剤:塩類下剤、糖類下剤
刺激性下剤:アントラキノン系誘導体、ジフェノール誘導体
上皮機能変容薬
胆汁酸トランスポーター阻害薬