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正確な内視鏡診断が必要な理由

[2019.08.07]

院長の松岡です。

以前から「生検を行わないでがんかどうかはどうして見分けられるのですか?」と内視鏡検査中に質問を受けることがあります。

医療技術の進歩は目覚しく、拡大観察(顕微鏡をのぞいたように検査中にリアルタイムにズームアップして観察する方法)やNBI観察(色を作る赤緑青の3色のうち、赤を除くことで粘膜表面の血管を選択的にみることができる強調画像)や色素観察(粘膜の凹凸をよりはっきりさせるインジゴカルミン散布法や粘膜の細かい凹凸を観察しやすいようにクリスタルバイオレットという特殊な薬液を散布し確認する色素観察法)などを用いることで、ほとんどの病変でそれが腫瘍か非腫瘍か。そしてそれが腫瘍であればがんか非がんかがリアルタイムで分かります。また上記の方法を用いることで、深達度(病気の深さ)も類推することが出来ます。

つまりしっかりトレーニングを積めば、内視鏡検査時に病気を発見した場合、リアルタイムに質的診断(がんかどうか)と範囲診断(病気の範囲)そして深達度診断(病気の深さ)を同時に行う事が可能となります。

そして、正確な診断はそのまま治療に直結します。診断により①治療の必要性なし、②内視鏡治療適応、③外科治療適応、④化学療法・放射線治療適応 等に治療方針が分かれるからです。特に確実な内視鏡診断は②or③つまり開腹するか否かを分けます。

また、正確な診断を行うためには、胃腸の残渣(食べかす)をゼロにした状態で検査を行う事が望ましく、特に微小病変の評価を行うためには特に大切となります。

即ち、以前にもまして内視鏡検査前の前処置が大切となることになります。

 

本日、普段お世話になっている総合病院様で検査をさせて頂いた中の1症例に25mm大のvolumeのある病変を認めました。しっかり水洗し、まずは遠景WLI観察、その後拡大NBI観察、そして拡大クリスタルバイオレット染色観察を行うと概ね良性の病変(一部早期のがん)と判断でき②内視鏡治療適応病変と判断できました。また、今回のケースとは逆で10mm以下の小さな病変でも詳細に観察することで③内視鏡治療適応外と判断できる病変も認めることがあります。正確な内視鏡診断が必要と分かって頂けるエピソードと思います。

 

当院では上記を徹底して行い、特に術前診断に拘ることで適切な内視鏡治療に直結していきたいと考えております。内視鏡検査で不明な点や不安な方はお気軽にご相談下さい。

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