早期S状結腸癌(便潜血陽性、極性の機微) 今週の1枚260708
便潜血陽性をきっかけに受診された患者様の検査において、早期S状結腸癌が発見された症例をご紹介します。
| 年齢・性別 | 60歳代 女性 |
|---|---|
| 主訴 | 便潜血陽性 |
| 診断名 | 早期S状結腸癌(pTis) |
大腸内視鏡検査による早期S状結腸癌の発見
大腸内視鏡検査を実施したところ、近位S状結腸に12mm大の0-Isp病変(有茎性の隆起型病変)を認めました。便潜血検査で陽性反応が出た際は、このように自覚症状がない段階でも病変が隠れている可能性があるため、速やかな内視鏡検査の実施が推奨されます。
NBI拡大観察と遠景観察を組み合わせた術前診断
病変の性質を詳しく調べるため、NBI(狭帯域光強調画像)を用いた観察を行いました。拡大観察では主にJNET分類2Aの所見を認めましたが、少し離れた位置からの遠景観察を併用したところ、病変中央にコンポーネントが異なる小隆起(一部JNET2Bを疑う所見)を確認しました。
これらの観察結果から、がんの深さは粘膜内にとどまるcTis(粘膜内癌)であると術前に判断し、内視鏡的治療の適応としました。
内視鏡治療の経過と病理診断
治療においては、病変の取り残しがないよう周囲のマージンを十分に確保した上で内視鏡的切除を行いました。治療後の経過および病理結果は以下の通りです。
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病変の特定と精密診断
NBI観察を駆使し、病変の広がりと深達度を正確に評価します。 -
内視鏡的切除の実施
電気メスを用いて病変を慎重に焼灼切除しました。 -
クリッピング縫縮術
切除後の傷口をクリップで縫縮し、後出血や穿孔のリスクを低減させます。 -
治癒切除の確認
回収した検体の病理診断を行い、治癒切除であることを確認しました。
本症例の検査・治療画像
- 左上:NBI遠景観察(病変全体のバランスを確認)
- 右上:NBI弱拡大観察(表面構造を精査)
- 左下:焼灼切除後の状態
- 右下:クリッピング縫縮術後の状態
正確な診断に欠かせない遠景観察の役割
内視鏡検査において、ズームアップして細部を見る「拡大観察」はもちろん非常に重要です。しかし、本症例のように病変全体のバランスや極性の崩れを確認する「遠景観察」を疎かにしないことが、より正確な術前診断につながります。当院では多角的な視点による観察を徹底し、精度の高い内視鏡診療を提供しています。
