多くの内視鏡を担当させて頂くことで
院長の松岡です。
先週も沢山の胃カメラ・大腸カメラをさせて頂き、治療に結び付けることができた内視鏡が出来ました。
①「便潜血が引っかかったから症状はありませんが仕方なくきました」からの早期癌の症例。
②「前回検査がとても辛かったので大腸検査を嫌煙していましたが、流石に大腸癌検診陽性ですので」からのポリープ切除術。
③「ここ数か月食欲が落ち、便も細くなった気がしてかかりつけ医の先生に相談したら、すぐ検査を勧められて」からの進行癌の症例。
などなど、日々本当に沢山の診断の瞬間の現場に立ち会います。何度も書いていますが、進行した病気であっても症状は皆無であることが少なくありません。かかりつけ医の先生から内視鏡検査を受けてみたらと言って頂いた時、いつもと異なる腹部症状がある時、消化器症状が持続している時は内視鏡検査をするタイミングなのかもしれません。
静から動の判断
そして先週、20mmを超える病変を認め、拡大NBI診断で早期大腸癌と判断し内視鏡治療を行いました。当然、大きな病変の処置にはそれなりのリスクがついて回ります。高周波電気メスで切除した瞬間、勢いよく動脈性出血を認めました。いつものように出血源の同定を試みましたが出血の勢いが強烈で。。こんな時(本当に不思議ですが)、10年強指導して頂いている内視鏡スペシャリストの先生から以前直接指導頂いた同じ場面がよみがえってきました。慌てた時こそ冷静に1発目のクリッピング止血に全神経を集中することが大切です。また、冷静になると周りが見えてきます(一番慌てていたのは私だったかもしれません)。スタッフも瞬時に静から動のスイッチを理解し、素早く次の動きを予測して個々動き始めます。師長を中心とした良いチームワークが安定した内視鏡処置に繋がっています。また、技術の継承でより非属人性の高品質検査の安定供給が実現できます。今回結果として狙ったラインで1発目のクリッピングが上手く決まり、切除面を完全縫縮してトラブルなく処置を完遂することが出来ました。スタッフに感謝です。そして技術を分け与えて頂いた指導医の先生には感謝の言葉しかありません。苦しい時に出てくる持ち駒をいくつ持っているかで真価が問われます。これからもどんどん持ち駒を増やすことで地に足付いた内視鏡検査を行っていきたいと思います。
やはり基礎の徹底
先日ある講演会での教育者の方の話です。自分の出来ることをやることも大切だが、その時できなくても人生でやりたいと思う目標があるのならば、高い志を持ち、努力し続けるしかない。そして、基礎の実践、基本の反復・徹底こそが現状打破・ブレイクスルーの唯一の道と申されていました。
また、短期集中することで学習曲線の傾きが大きくなることもデータが示しています。沢山内視鏡検査を担当させて頂くとで検査の質も上がり、技術も洗練されるはずです。皆様に満足して頂ける消化器胃腸診療の提供に少しでも近づけるよう努力し、消化器内視鏡分野で社会貢献するため、懐の深い内視鏡検査・治療を実践できるよう技術を磨いてまいります。