便秘症・過敏性腸症候群等の大腸内視鏡検査について
院長の松岡です。
富山も爆発的にインフルエンザ流行していますので感染拡大の予防の徹底を行いましょう。
挿入難易度の高い大腸
先日立て続けに挿入難易度の高い大腸検査を行いました。
便通異常・便秘症・過敏性腸症候群など、繰り返す下痢と便秘等の便通の悩みがある方の大腸内視鏡検査は他の方に比べて難しくなることが多いです。
【困難となる原因】 |
① 腸の動きが悪い |
② 腸のねじれが強い |
③ 腸が長い |
実際③である頻度は非常に少なく、大半は①のため腸内に腸管洗浄液が残っておりその重さにより②を引き起こし、見かけ上③となっている印象です。
しっかりと検査前の前処置を行い、無送気軸保持短縮法で丁寧な挿入を行う事で約90%の腸は比較的苦しむことなく直腸~結腸~盲腸まで挿入できます。残りの10%ほども「ねじれやすい部分の腸を丁寧に大腸カメラに合わせて巻き取っていく(hooking the fold / right turn shortening)」ことでほとんどの腸は問題なく挿入できます。
※ただ0.5%ほどに真の挿入困難例が存在すると思います。それは「③(真の)腸が長い」と「④腸管癒着」です。
真の③:特に横行結腸過長例は本当に難しいと思います。セオリー通りに腸の前半の挿入をしっかり行っても横行結腸が長いとなかなか腸を折りたたむ(痛みを伴わず挿入する)ことが出来ません。様々な工夫を加えてもどうしても困難な場合はレントゲン装置で腸の動きをリアルタイムに確認しながら尺取虫の様に動く特殊な内視鏡を用い盲腸までカメラを入れます。
④:開腹手術歴があったり、腹膜炎など腹部の大きな炎症を起こした方、放射線治療歴のある方に起こることがあります。ただ実際の頻度は少なく、検査前に癒着例と思っていても実際は①②が原因であることが多いように思います。
以上、かなりマニアックな話になってしましました。消化器内科・内視鏡医は検査時にこのようなことを考えながら検査を行っているのかと思っていただいたら幸いです。
確実な大腸カメラ検査のすすめ
大腸カメラ検査は直腸~結腸~盲腸までしっかり観察してこそ意味があるとこれまでも多くの内視鏡医たちが言っています。先日も様々な工夫を行っても盲腸まで挿入しにくい腸の検査を行いました。時間がかかりましたが盲腸まで挿入でき、上行結腸に早期がん病変を認め内視鏡治療することが出来ました。当院では可能な限り責任をもって盲腸まで確認することモットーとしています。
適切な技術でその腸に合った器材を選択する事。そして、検査中に様々な予期せぬことが起こることも想定して内視鏡技師・看護師も含めた連携・内視鏡室全体のシステム構築が大切であると思います。
富山を中心とした北陸の方に「つらくない」「正確な」「安全な」内視鏡検査を「手軽に」受けて頂けるようスタッフ一同研鑽を積んでいきます。