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潰瘍性大腸炎・潰瘍性大腸炎関連がんについて

[2020.01.28]

院長の松岡です。

年々患者数が増加している炎症性腸疾患(特に患者数が22万人と言われている潰瘍性大腸炎)について。

2015年に、より内視鏡治療を行う事が前提とされた「炎症性腸疾患におけるサーベイランスと大腸腫瘍の取り扱いに関するSCENIC consensus statement」が提唱されています。炎症性腸疾患の長期経過症例は大腸がんの発症リスクが高く、定期的に内視鏡的観察を行う事が非常に大切です。

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炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)

IBDでは腸管粘膜の慢性炎症を背景とする大腸がん・小腸がんの発症リスクが高いことが分かっています。①IBD全体の患者数の増加、②治療の進歩に伴うIBD罹患期間の長期化等もIBD関連がんの増加の一因と考えられています。IBD関連がんが一般的な消化器がんと異なるややこしい点は肉眼的に多彩である点(浸潤傾向が強い)、組織学的に低分化型・粘液がんが多い点、同時性多発が多い点などであります。前がん病変(dysplasia)のうちに治療するため様には、非常に困難なIBD関連がんの早期発見を行っていく事が命題となります。

潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis:UC

大腸(直腸と結腸)に限局し、粘膜下層までの浅層までの炎症が直腸から口側腸管に連続して起こる疾患です。
UCの長期罹患期間症例は大腸がんを発症するリスクが高くなるため、内視鏡的サーベイランスsurveillanceが大切です。また潰瘍性大腸炎関連がんは慢性炎症粘膜を母体とした粘膜から発症するため、一般的大腸がんと比較して周囲粘膜との境界が不明瞭で平坦な(分かりにくい)病変やdysplasiaを認めることが少なくないと言われます。

潰瘍性大腸炎関連がん UC-associated colorectal cancer:UCAC

慢性炎症を発生母体としたUCの長期経過例ではUCACの発生を認めることが少なくなく、内視鏡的サーベイランスがとても重要です。

<潰瘍性大腸炎関連がんのリスク因子>

 〇罹患期間          若年発症(40~50歳)
 〇散発性発癌         多発病変(同時性・異時性)
 〇罹患腸管範囲        左側大腸(直腸:約50%、S状結腸:約20%)
 〇持続する慢性炎症      前がん病変(dysplasia)の存在(慢性炎症が契機となる発癌)
 〇原発性硬化性胆管炎の併発

 

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