内視鏡革命がもたらす咽頭・食道表在がんの診断・治療について
院長の松岡です。
日本消化器内視鏡学会に参加し、北里大学の演者の先生から咽頭・食道表在がんについて内視鏡診断と治療に学ぶことが出来ました。
飲酒が原因での発癌には①アルコール飲料、②飲料中のエタノール、③飲酒と関連したアセトアルデヒドが関与していることは広く知られています。
食道表在がんは古典的な食道扁平上皮表在がん:Superficial Esophageal Squamous cell Carcinoma:SESCCと表在性食道腺癌:Superficial Esophageal Adenocarcinoma:SEACに大別されます。
日本人の飲酒者の食道がんリスク
飲酒後のエタノール濃度とアセトアルデヒド濃度を調整するアルコール代謝酵素の遺伝多型が深く食道がんと関係があり、特にALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)が重要です。
ALDH2活性が弱いと体内でのアルコール代謝が追い付かず、結果的に少量の飲酒でもすぐ血中アセトアルデヒド濃度が上昇してしまいます。
ALDH2活性が低い方の特徴
飲酒後の顔面紅潮、眠気、動悸、嘔気、頭痛、フラッシング反応(強いフラッシング反応は下戸であることが多い)
ヨード色素内視鏡 Lugol Chromoendoscopy:LC
食道扁平皮表在がんは病変部位に多発ヨード不染帯(multiple Lugol-voiding lesion:mLVL)を認めることが多く、ヨード染色感度は高い。
LVLは異型上皮であり、飲酒やALDH2ヘテロ欠損に強く関連する。
MultipleLVLはアルコール関連発癌に特徴的な発癌様式と考えられている。
つまり、ハイリスク因子群、頭頚部・食道扁平上皮がんの既往がある方の内視鏡検査ではLCを併用することで検出率が向上する。
咽頭部・食道表在がんの内視鏡診断・治療
とりわけ喉頭がん・咽頭がんは早期病変で発見することは難しく、自覚症状が出て初めて発見されることが多い疾患です。すなわち進行がんで発見されることが多いということであり、外科治療や化学療法が選択されることが少なくありません。
そこで「どうすれば早期の段階で病変を発見できるか」をテーマにした研究が増えたことで内視鏡の技術革新が進みました。その結果、画像強調観察法(Image Enhanced Endoscopy:IEE)や拡大内視鏡観察法を用いた体系的な内視鏡診断を行うことで内視鏡治療が可能な時代に突入しています。
メディカルイノベーション
当院はOLYMPUS社の最新内視鏡器材を用い、内視鏡診断のトレンドに乗り遅れないよう、少しでも「消化器がんの早期発見・早期治療に貢献していきたい」と考えています。
・「EVIS X1ビデオシステムセンター CV-1500」
・「4K UHD LCDモニター OEV321UH(画面サイズ/LCDモード 31.5型/IPS液晶)」
・「極細径ビデオスコープ GIF-1200N(先端部外形φ5.4mm)」