最近の大腸内視鏡検査
院長の松岡です。
先週からインフルエンザウイルス感染の方が大勢来院されています(ほとんどの方がA型)。突然の高熱・悪寒を認めた方は早めの医療機関受診をお願い致します。また、インフルエンザワクチン接種希望の方はご相談下さい。
内視鏡検査を受ける必要性
消化器疾患は症状が無くても内視鏡検査を行う事で病気を発見することがよくあります。疼痛なく安全に検査を行う体制があれば早期発見でき、早期発見することで早期治療に繋がります。
便潜血要精査で検査を受けていない方・慢性的な下痢や便秘や腹痛で悩んでいる方・体重減少や貧血の進行を認めている方はぜひ内視鏡検査を受けて頂くことをお勧め致します。
今年に入り大腸内視鏡検査をさせて頂いた方の中に数名異常を認めました。
①以前から下腹部違和感があり大腸カメラを施行した方。検査前に十分な説明をさせて頂き検査を受ける覚悟がついたとのことで検査を行いました。検査は問題なく終了しましたが大きな病変を認めました。進行病変であったため内視鏡による手術が困難であり、総合病院で速やかに治療に向けた全身精査を行い現在の病勢把握を行う方向となりました。
②以前から強固な便秘で悩まれている方。いつも言っていることですがまずは器質的異常(目に見える病気)を確実に否定してからしっかり便通コントロールを行う事が大切です。大腸検査では10mmを超える腫瘍を認め、拡大観察にて前がん病変と診断し内視鏡手術させて頂きました。
③LST:Laterally Spreading Tumor 側方発育型腫瘍
早期胃がんがある方で大腸精査を行った方。大腸の襞に隠れたところにLST:Laterally Spreading Tumorを認めました。LSTは側方発育型腫瘍と言い、大腸壁にべったりとへばりついた平坦な腫瘍のことです。丈が低いため比較的大きな病変でも通常光では認識しにくいと言われています。当院では全例NBI:Narrow Band Imagingで観察していますので今回のような確認しずらい場所の病変もしっかり確認することが出来ました。また生検を行う事で内視鏡処置に影響がでるため、生検を行わず拡大観察・色素散布を行い病変の表面構造を確認することで詳細な検査が可能となります(腫瘍/非腫瘍か、腫瘍であれば癌・非癌かの鑑別をその場で即時に行えます)。今回の病変は一部がんを疑う構造と判断したため、いつもお世話になっている大腸内視鏡手術のスペシャリスト専門医に紹介させていただきました。