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過敏性腸症候群について

[2018.02.09]

院長の松岡です。

便通異常、腹満感等の主訴で大腸内視鏡検査を希望され、検査で過敏性腸症候群の診断に至る方が多く見受けられます。

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)とは主としてストレスが原因となり、腹痛・下痢・便秘を慢性的に繰り返す病気です。消化管運動異常、消化管知覚過敏、心理的異常を認めると言われています。

症状によって「便秘型IBS」「下痢型IBS」「混合型IBS」と、3つに分類できない「その他」に分類されます。

大腸がん、大腸憩室症、潰瘍性大腸炎、クローン病などの目に見える病気(大腸内視鏡検査、採血、レントゲン検査等で腸に異常を認める)の除外(その病気ではないということの確認)を行うことが必要です。IBSは上記検査を行っても目に見える異常は認めませんが、症状の持続を認めますので対応に苦慮することが多いです。

日本人の罹患者は多く、若い年代に比較的多くみられる傾向があります。主とした症状は腹痛、腹部不快感、便通異常などです。一般に食事によって症状が誘発され、睡眠中に症状は認めないことが多いと言われています。重症の場合はトイレの問題で学校や会社に行けなくなったり外出を控えるようになったりして、日常生活の質を低下させることが問題になります。

生活の質が落ちる病気であるからこそ、しっかり必要な検査を行い目に見える病気を否定して、IBSの治療を行うことが大切です。

 

治療については経過が長く完全に治ることが少ないが命の危険に関わるようなことは少なく、病気と上手く向きあっていくというこの病気の性質を理解することが大事です。治療後も日によって症状に波があることがあり、波の振れ幅をいかに抑えていくかが大切になります。

大きく①生活・食事習慣の指導、②薬物治療、③心身的アプローチの3つの軸が基本となります。

①生活習慣は不規則な生活、睡眠不足、慢性疲労の蓄積、睡眠不足、心理社会的ストレス等、この病気の増悪因子と考えられるものがあれば改善を行います。症状を悪化させる食品(大量飲酒、香辛料等)の摂取も控えることが大切です。食物繊維の摂取は便秘型、下痢型療法に効果的と言われています。

②薬物治療は、高分子重合体、消化管運動調節薬、漢方薬等が選択されます。下痢型に対しては整腸薬、セロトニン受容体拮抗薬、止痢薬、便秘型に対しては緩下薬、腹痛には鎮痙

薬を用います。改善がみられない場合は、抗不安薬、抗うつ薬が考慮されます。

③心身的アプローチは、精神療法、自律訓練法、認知行動療法等心療内科的アプローチが必要となります。

 

 

 

 

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