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バレット食道 Barrett’s Esophagus:BE

症状:胸焼け/胃酸逆流/夜間の胸痛

 

食生活の欧米化(高蛋白・高脂肪食)・肥満に伴い、胃液・胆汁の慢性的な食道への逆流に伴う化学的損傷が起こり、下部食道粘膜がバレット粘膜に置換された食道粘膜をバレット食道(本来食道粘膜は扁平上皮というミルフィーユのような何層にも層を成した粘膜で覆われていますが、食道への慢性的な胃酸・胆汁逆流によりその扁平上皮が胃から連続する1層の円柱上皮に置換された状態)と定義された疾患で1950年代にBarrettが報告しています。ゆえにバレット食道は逆流性食道炎GERDの合併症(終末像)とも言えます。

大きな問題点はバレット食道が食道腺がんのハイリスク粘膜ということです。バレット食道は食道腺がんの発生母地であり発がん率は年率1%未満と報告されており定期的な内視鏡検査が大切です。

 食道胃接合部(食道と胃の境界線)から口側の円柱上皮の存在を肉眼的に確認することによりバレット食道の診断を行います。

バレット粘膜が3cm以上かつ全周性に認められればlong segment Barrett’s esophagus:LSBEと、3cm以下であればshort segment Barrett’s esophagus:SSBEと定義されます。

バレット食道がんと診断された場合、早期食道腺がんであれば内視鏡治療で治癒できます。しかしながら進行食道病変に対しては一般的な食道扁平上皮がんと同様外科的切除術や放射線治療・抗がん剤治療を行います。

バレット食道は元々ピロリ菌感染の少ない欧米人に多いと報告されています。これまで日本人の食道がんのほとんどは食道扁平上皮がん(本来の食道扁平上皮由来のがん)であり、欧米の食道がんのほとんどは食道腺がん(バレット食道から発生する食道腺上皮由来のがん)と言われていました。しかしながら、徐々に日本でも生活習慣の欧米化やピロリ菌感染の低下に伴うバレット食道の増加に伴い、食道腺がんが注目されています。

そして、最も大切なことは「バレット食道になる前の状態(逆流性食道炎の段階)でしっかり治療を行うこと」です。そうすることでバレット食道を予防することが出来、結果的にバレット腺がんの予防に繋がります。

治療は逆流性食道炎に準じた薬物治療が大切でありバレット腺がんの予防目的が主となります。

<バレット食道リスク因子>

  • 肥満
  • 高齢
  • 男性
  • 喫煙
  • ピロリ菌未感染・ピロリ菌除菌成功状態 
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