メニュー

貧血の指摘

赤血球とは
骨髄で造成された血球の1つである赤血球は、骨髄内で赤芽球が脱核され、末梢血に成熟した網赤血球としてデリバリーされ、成熟赤血球が出来上がります。赤血球は無核で直径約7μgの中心がくぼんだ形態をとっています。2重の脂質膜の中に収縮性タンパクから構成される円盤状形態を維持しており応形機能を獲得しています。
 
ヘモグロビンとは
赤血球にはヘモグロビン(Hb:血色素)があり、Hbにより体内の組織に血管を通じて酸素を運搬しています。ヘモグロビンは鉄を有するヘム色素とグロビンというタンパクから形作られている鎖状色素タンパクであり、酸素運搬機能を持ち、4つのサブユニットで機能しています。
 

貧血とは

血液中のHbの減少に伴い、組織への酸素供給量の低下が貧血でありそれに伴う諸症状を伴います。

 

症状

眼瞼結膜の白色化、顔色が青白い

呼吸苦、全身検体

動悸、息切れ

頭痛、耳鳴り、食欲低下

 

貧血の分類

Hb合成障害 鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、慢性炎症性疾患に伴う貧血、サラセミア

幹細胞レベルでの障害 再生不良性貧血、赤芽球癆、骨髄異形成症候群

赤血球の異常 遺伝性球状赤血球症、発作性夜間血色素尿症

免疫の関与 自己免疫性溶血性貧血、寒冷凝集素症

赤血球破砕症候群

脾臓の機能亢進

 

上記のように貧血を分類すると沢山あります。ただ病気により発症頻度は異なります。日常的によく見る貧血(特に消化器内視鏡内科として携わる)について解説を入れてまいります。

 

体内の鉄動向

一般に鉄は体内に4g程度存在していると言われており、2/3は成熟赤血球内のヘモグロビンに、1/3はフェリチンなどの貯蔵鉄として肝臓や脾臓に蓄えられています。

 

鉄欠乏性貧血

体内の鉄が欠乏することで赤血球内のヘモグロビン量の低下による小球性低色素性貧血。全体の25~50%を占める貧血。

原因

幼児期、思春期貧血(体の急速な発育に造血が相対的に不足する)、成人女性貧血(妊婦、授乳中、子宮筋腫、子宮内膜症、月経過多)、消化管出血(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌、大腸ポリープ、大腸癌、食道静脈瘤)

胃カメラ

大腸カメラ

治療

基本は経口鉄剤の投与であるが、一定数消化器的偶発症(悪心、嘔気)が強く内服困難な場合や、消化管からの鉄剤吸収が困難な場合は非経口鉄剤を用いる。

 

巨赤芽球性貧血

赤血球内の細胞質は成熟するが、核が未成熟というDNA合成レベルでの異常による大球性高色素性貧血症。

原因

ビタミンB12欠乏:内因子欠乏(胃全摘術後、悪性貧血)

回腸末端病変によるビタミンB12吸収障害:クローン病など

葉酸欠乏:慢性アルコール中毒、

吸収障害:抗痙攣薬、経口避妊薬

悪性貧血

自己免疫(抗胃壁細胞抗体、抗内因子抗体)により萎縮性胃炎を伴う貧血。

貧血症状の他、消化器症状(舌痛、舌乳頭萎縮、ヒスタミン不応性の胃液の無酸症)、神経症状(認知低下、白髪)

治療

ビタミンB12欠乏ではビタミンB12の非経口投与を、葉酸欠乏ではヒスチジン投与や葉酸投与

 

鉄芽球性貧血

 

 

 

貧血が続くと…

貧血を放置していると、本来の役割である「全身に酸素を運ぶ」ことができなくなり、体内が酸素不足に陥ります。
一方で心臓は正常な身体の機能を維持するため、全身に血液を送ろうとします。これにより、心臓、脳といった重要な器官で不調が引き起こされることがあります。

貧血の検査と診断

貧血そのものは、血液検査によって血液中の赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリットの値を調べることで診断できます。
貧血の原因として疾患が疑われる場合には、胃カメラ検査、大腸カメラ検査、また場合によっては骨髄検査や遺伝子検査などを行います。
当院の内視鏡検査では、鎮静剤を使用し、ウトウトとした状態で楽に検査を終えることが可能です。また、胃カメラ検査においては嘔吐反射の起こりにくい経鼻内視鏡を完備しております。
消化器・内視鏡専門医である院長が診療して参りますので、どうぞ安心してご相談ください。

胃カメラ(胃内視鏡検査)
について詳しくはこちら

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)
について詳しくはこちら

貧血の治療と治し方

貧血の原因となる疾患がある場合には、疾患に応じた治療を行います。
それ以外には、以下のような治療を行います。

食事指導・生活習慣指導

鉄分をしっかりと摂取できるよう、食習慣の改善指導を行います。
激しいスポーツを原因として起こる貧血(スポーツ貧血)の場合には、より積極的に鉄分を摂るよう指導します。運動量のコントロールが必要になることもあります。
また、無理なダイエットが原因になっている場合には、その中止が必要です。

鉄剤の処方

必要に応じて、鉄剤を経口投与します。胃に負担がかかる場合などには、注射、シロップ剤を用いることもあります。

貧血予防のための食事

貧血を予防するため、また治療後に再発を防ぐためには、食事からしっかりと鉄分を摂取することが大切です。
また、鉄分は体内での吸収が悪いため、吸収率をアップさせたり、赤血球の産生を促す栄養素の摂取も重要になります。

貧血の際におすすめ食べ物

  • レバー・牛モモ肉・カツオ・マグロ・赤貝
    いずれも、鉄分を豊富に含む食品です。
  • 野菜・果物・イモ類
    鉄分の吸収率を高めるビタミンCを多く含みます。
  • 緑黄色野菜
    正常な赤血球をつくる葉酸を多く含みます。
  • 魚介類・レバー・大豆
    ヘモグロビンをつくる際に必要となる酵素の成分となる銅を多く含みます。
  • 肉・魚・卵・乳製品
    鉄分の吸収率を高める動物性たんぱく質を多く含みます。
  • カキ、アサリ、シジミ、鮭
    赤血球をつくるビタミンB12を多く含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貧血の原因は?

貧血の原因には、以下のように、さまざまなものが存在します。

月経過多・妊娠

月経量の多い月経過多、胎児に多くの酸素を送る必要のある妊娠は、いずれも女性ならではの貧血の原因です。

無理なダイエット・スポーツ

無理なダイエットによる鉄分不足も、女性によく見られます。
また激しいスポーツをしている人は、汗などからの鉄分の排出が多く、鉄分不足になりがちです(スポーツ貧血)。

食物からの鉄分摂取量の不足

鉄分の消費量は正常の範囲内であっても、食べ物から取り入れる鉄分が不足すると貧血の原因になります。また、特にご高齢の方は、ダイエットをしている意識がなくても、食事量が減り、鉄分不足になることもあります。

疾患に付随する出血

潰瘍などから出血し、これが貧血を招くことがあります。

貧血を引き起こす疾患

胃・十二指腸潰瘍

ピロリ菌感染を主な原因として発症します。
胃痛や嚥下困難、胸やけなどの症状に加えて下血があり、これが貧血を引き起こします。また、吐血を起こすこともあります。

詳しくはこちら

胃がん・大腸がん

いずれも進行すると出血を起こし、貧血の原因になることがあります。便潜血検査で陽性であった場合には、このような消化管のがんが疑われます。
胃がんでは、吐血を起こすこともあります。

胃がんについて
詳しくはこちら

大腸がんについて
詳しくはこちら

子宮筋腫

子宮に発生する、良性腫瘍です。初期にはほとんど症状がありません。
大きくなると月経痛、月経過多を引き起こすため、貧血の原因になることがあります。

慢性腎不全

腎臓の機能が低下し、正常な働きができない状態です。
赤血球をつくるホルモンが減少するため、貧血を引き起こすことがあります。

白血病

骨髄炎の異常によって白血球細胞が無限に増殖する、血液のがんです。正常な白血球が作れなくなり、赤血球や血小板も減少するため、出血が起こりやすく、貧血の原因になることがあります。

 

貧血について

「めまい」と同様に「貧血」も様々な原因により来院されることがあります。貧血というのは血液中を流れている赤血球の中にあるヘモグロビンという酸素を運搬する役割を持った蛋白質の濃度が低下してしまう状態を言います。

■症状について

  貧血の症状はめまい・ふらつき・動悸・倦怠感などがあるため、別にお話する狭い意味での眩暈症や低血圧・脱水・発熱などでも同様の症状を認めるため、「貧血」とおっしゃって来院されることが非常に多いです。
 
 ここでは本来の意味での貧血についてお話します。前述しました通り、貧血は血液中のヘモグロビン濃度の低下により起こります。
 
  原因としては赤血球が作れない状態・赤血球が壊されてしまう状態・赤血球が失われてしまう状態が考えられます。赤血球が作れない状態というのは材料である鉄分の不足や赤血球を作っている臓器である骨髄の病気などがあります。
 
  赤血球が壊される状態というのは赤血球の膜が遺伝的に弱い病気や赤血球の膜に対する抗体が存在する病気や赤血球を壊している脾臓の機能が亢進する病気などがあります。赤血球が失われてしまう状態というのは出血となります。
 
 貧血には赤血球が小さく濃度が薄いもの、大きくて濃度が濃いもの、大きさも濃さも普通のものがあります。小さくて濃度の薄いものには材料がなくて作れない鉄欠乏性貧血や慢性炎症に伴う消耗性の貧血があります。
 
  大きさも濃さも普通のものには骨髄で赤血球が作れない再生不良性貧血や赤血球を作る命令が出せない腎性貧血、血管内で血液が壊されてしまう溶結性貧血や脾臓の働きが亢進している脾機能亢進症などがあります。
 
  大きくて濃度が濃いものには胃切除後のビタミンB12の欠乏や葉酸の欠乏などがあり、巨赤芽球性貧血と呼ばれます。

■治療について

治療は原因によって異なります。主なものについてお話します。
 
鉄欠乏性貧血:
  外来で最もよくお目にかかる貧血のひとつです。日本では男性の2%、月経がある時期の女性の約25%にみられるといわれています。
 
  胃腸の病気による吸収不良や変色などによる鉄の吸収が悪い場合、妊娠や授乳による鉄の需要が増える場合、月経過多・子宮筋腫や潰瘍・癌などの消化管出血による鉄の喪失がある場合に分かれます。一般的な貧血の症状の他に、鉄欠乏の症状として舌の粘膜の萎縮や爪の変形が認められることがあります。
 
  また、異食症といって、氷や土を食べるような症状がでることがあります。治療としてはまずは女性の場合は婦人科疾患が隠れていないか検索することと、消化器疾患が隠れていない検索することが先決です。
 
  もちろん男性の場合も消化器疾患の検査は必要です。消化器疾患ですが、中高年に多い悪性腫瘍でなくても、若年者に多い小腸・大腸の炎症性腸疾患というものもあるので、年齢関係なくしっかりと検査を受けることが必要です。
 
  続いて、偏食があるようであれば、食事指導を行い鉄分の多い食事をしっかりと摂取するように指導します。薬による治療では鉄剤の使用があります。鉄剤では悪心・嘔吐などの副作用があり、内服できない場合はやむを得ず静脈注射で使用することもありますが、この場合は鉄過剰症となる危険があるので十分注意が必要となります。
 
  鉄分を多く含む食材は肉・魚・レバーなどの内臓・穀類・ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜です。このうち、肉・魚から摂取できる鉄分はヘム鉄と言われ、植物性の非ヘム鉄よりも吸収率が高いです。
再生不良性貧血:
  骨髄の血液を作る細胞が減ってしまいそれにより赤血球が減ってしまう病気です。指定難病となっています。先天性のものと後天性のものがあります。後天性のものの中には薬剤性のものもあります。治療は重症度により骨髄移植・免疫抑制療法・蛋白同化ステロイドなどがあります。
 
腎性貧血:
  慢性腎臓病になると骨髄での赤血球を作る指令となるエリスロポイエチンというホルモンが減ってしまいます。そのために起こる貧血となり、腎臓に対する治療とエリスロポイエチンの補充が治療となります。
 
溶血性貧血:
  何らかの理由により赤血球が壊されてしまう病気です。先天性のものと後天性のものがあります。先天性溶血性貧血の中では日本で最も多いのが遺伝性球状赤血球症であり、他にもサラセミア・鎌形赤血球症などがあります。後天性のものには自己免疫性溶血性貧血・溶血性尿毒症症候群などがあります。
 
  自己免疫性溶血性貧血は自分自身の赤血球に対する抗体ができてしまい溶血が起こる病気で、後天性の溶血性貧血では最も多いです。膠原病によるものや感染症によるものがあります。溶血性尿毒症症候群は腸管出血性大腸菌(主にO-157)感染後に続発して見られることで有名です。非常に重篤な腎障害をきたし、要注意が必要な病気です。小児に多いです。
 
巨赤芽球性貧血:
  ビタミンB12欠乏によるものが多いです。ビタミンB12は胃で産生されるCastleの内因子と言われるものと結合することにより回腸(小腸の終わりの半分)より吸収されます。
 
  胃切除後ではこの内因子が出てこないため、貧血となります。胃切除後早期は鉄欠乏性貧血を呈し、5~6年経過するとビタミンB12欠乏性貧血となります。
 
  また、胃の粘膜が萎縮して萎縮性胃炎になるとやはり内因子がでないため同様に貧血となります。自己抗体により胃粘膜が萎縮する病気もあり、これを悪性貧血といいます。悪性貧血は高齢者に多く、胃癌を合併しやすいので注意が必要です。
 
  変わったところでは、サナダムシなどの寄生虫感染によりビタミンB12欠乏をきたすことがあります。葉酸欠乏は慢性アルコール中毒などで診られることがあります。
 
  一般的な貧血の症状に加えて舌炎や亜急性脊髄連合変性症という神経症状や認知症・白髪などを認めることがあります。治療はビタミンB12欠乏ではビタミンB12と補充するのですが、口から服用しても吸収障害があるので筋肉注射で補充します。
 
  葉酸欠乏では葉酸を口から投与、もしくは筋肉注射にて投与します。一般に成人の身体での貯蔵量はビタミンB12は数年分、葉酸は数か月分あると言われており、すぐには症状が出ないことが多いです。

 

 

 

1.鉄欠乏性貧血

原因

(1)胃切除・吸収不良症候群・などによる鉄の吸収障害がある場合

(2)少食・偏食などにより、鉄摂取量が不足している場合

(3)妊婦・十二指腸潰瘍・潰瘍性大腸炎・子宮筋腫・痔などによる急性および慢性出血により、鉄排泄量が増加している場合

症状

上記の貧血の症状に加えて、舌炎・口角炎・嚥下障害・胃粘膜萎縮による胃部不快感・さじ状爪・異食症(泥、釘、氷等を好んで食べる)等があります。

血液検査で見られる状態

ヘモグロビンの低下・赤血球の変形・網赤血球の減少・血清鉄の低下・UIBC(不飽和鉄結合能=鉄を運搬する蛋白が鉄を結合していない部分)の増加・フェリチン(貯蔵鉄)の著明な低下

ヘモグロビンの低下・赤血球の変形・網赤血球の減少・血清鉄の低下・UIBC(不飽和鉄結合能=鉄を運搬する蛋白が鉄を結合していない部分)の増加・フェリチン(貯蔵鉄)の著明な低下

治療

(1)食事療法

(2)鉄剤の投与(内服薬、注射) 

2.悪性貧血

原因:ビタミンB12の欠乏

特徴:血液中に異常に大きい赤血球が出現します。胃全摘出手術後、慢性アルコール中毒患者などにみられます。

3.溶血性貧血

何らかの原因で赤血球がもろくなり、寿命が短くなると骨髄での造血が間に合わなくなって貧血になります。先天的に赤血球に異常がある場合と自己免疫性疾患のような後天的に起こる場合とがあります。

4.再生不良性貧血

原因:骨髄での造血障害によって起こります。放射線の被曝や有機溶剤を長年扱ったりした場合など以外は、殆どが原因を特定できない突発性貧血です。

症状:多くの場合ゆっくりと進行するので皮膚、粘膜の蒼白以外に自覚症状が現れないことがあります。

治療:輸血以外には骨髄移植が治癒を期待できる唯一の治療法です。

※スポーツ貧血※

○ 激しいトレーニングによって発生

○ 貧血症の人が選手としてトレーニングしている

⇒原因は同じではありません。

*貧血であるからといって、単純に鉄を補給したり、蛋白質を十分にとるというような基本的な食事対策をとっても、貧血を治すことにはならないことが多いのが現実です。

*血液における貧血状態よりも筋肉における貧血状態が深刻であると言えます。

* 鉄の不足も問題であるが、鉄を結合して機能を発揮する蛋白質そのものの合成が不充分である可能性があります。

貧血の食事療法

 
貧血を予防・治療するためには、毎日の食生活において、朝食、昼食、夕食の3回を規則正しく摂らなければなりません。間食の摂りすぎや欠食は栄養のバランスをくずし、貧血になりやすいので注意しましょう.

(1)栄養のバランスのよい食事を摂りましょう

(2)鉄分を多く含んだ食品を十分に摂りましょう

(3)蛋白質を十分に摂りましょう

(4)胃腸を丈夫にしましょう

造血に関係する栄養素と食品

(1)鉄…………血色素を作る…(レバーを含む肉類・海草・ほうれん草などの緑黄色野菜・干しブドウなどの干した果物・ごま・貝類・大豆製品)

(2)銅…………造血を促進する…(レバー・スキムミルク・インゲン豆・バナナ)

(3)蛋白質……血色素を作る…(卵・肉・魚など動物性のもの)

(4)ビタミンC…鉄分の吸収…一般の新鮮な野菜類・果物類

(5)ビタミンB12…造血を促進…かきなどの貝類・粉乳・チーズ・卵黄・魚の血合肉

 

 

鉄欠乏性貧血

血液の成分の中の赤血球の数が減ることを貧血といいます(俗にいう脳貧血とは異なります)。
赤血球は吸気の中の酸素を肺から全身の組織に運搬する役目を担っています。
したがって貧血になると、意識が遠くなったり、運動した時に息が苦しくなったりすることがあります。
一方、貧血に慣れてしまった状態では自覚症状がない場合もありますので、健診等で初めて指摘されるケースもみられます。
貧血は様々な原因で起こりますが、最も多くみられるのが鉄欠乏性貧血です。
赤血球の中にはヘモグロビンという酸素と結合する働きのあるたんぱく質が含まれています。
ヘモグロビンには鉄原子が含まれていますので、鉄が不足すると貧血になります。
血液検査で赤血球やヘモグロビンの数値が低下して、ひとつひとつの赤血球の大きさが小さくなります。
血中の鉄(血清鉄)も低下することが多いのですが、これだけで鉄分が欠乏しているとはいえません。鉄は体の中で肝臓、脾臓、骨髄など様々な細胞の中に貯蔵しており、血液の中に存在するのは全体の0.1%にすぎないからです
貯蔵されている鉄の量はフェリチンという物質を測定することによりわかります。

女性の場合、経血よる血液の喪失が多いと鉄欠乏貧血になります。
若年または中年の女性で、「最近階段や坂道を登るときに息が切れる」などの訴えがある場合は鉄欠乏性貧血の可能性があります。
男性や高齢者などの鉄欠乏性貧血の場合は、消化性潰瘍やがんなどの消化管出血による場合がありますので注意が必要です。
便潜血検査や内視鏡検査など胃腸の検査を行う必要があります。

治療の原則は鉄分の補給です。
緑色野菜や肉、レバー、赤身の魚など鉄分の多く含まれる食物を摂ることが勧められます。なお、野菜などに含まれる無機鉄より肉や魚に含まれるヘム鉄の方が消化管からの吸収率が高いといわれています。
サプリメントによる鉄の補給も効果があります。
食物で十分な鉄分が補給できない場合は経口鉄剤を投与します。
鉄分の吸収をよくするためにビタミンCを併用することもあります。
ただし、鉄剤もビタミンCも胃腸障害を起こすことがあるので注意が必要です。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME