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PPI関連胃症について

[2020.06.17]

院長の松岡です。

まずは、最近内視鏡検査時に見る機会が増えた「PPI関連胃症」について少し説明いたします。

次の話題については、誤解を恐れずに言うと「ピロリ菌を除菌すればそれで終わり」ではないことも様々な研究で分かってきていますという話題提供です。その方その方・場面場面で対応が必要となっている事を知っておくことが大切です。

PPI関連胃症

胃の薬の中でもPPI(プロトンポンプインヒビター)は有名な薬の1つであり、患者さんの中でもご存知な方が増えています。このPPIを長期服用することによってポリープが出来る病気です。

病理学的変化(胃底腺の嚢胞状拡張、壁細胞の過形成・空洞化による内腔突出といった変化)を生じ、内視鏡所見としては胃底腺ポリープの増大、多発性白色扁平隆起、過形成ポリープ・敷石状粘膜として確認できます。

胃底腺ポリープの新規病変の発生だけではなく、既存病変の増大も指摘されている。PPI中止にて病変の縮小・消失することが多いことが特徴です。

大半の病変は治療の必要性はなく経過観察で問題ないですが、増大したポリープの精密検査でdysplasia(※1)が検出された報告例もあり注意する点であります。

背景胃粘膜の評価

ピロリ菌感染に伴う慢性萎縮性胃炎・鳥肌胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・MALTリンパ腫、胃腺腫そして胃癌はもちろん注意を払う疾患でありますが、2013年以降ピロリ菌除菌が急速に進んだ結果、ピロリ菌既感染(昔ピロリ菌がいた胃粘膜)の胃粘膜、そしてピロリ菌未感染(ピロリ菌がそもそもいない胃粘膜)の胃粘膜を診断する機会が増えています。ピロリ未感染胃癌(腺窩上皮型腫瘍等も)や除菌後胃癌などこれから内視鏡医が対応していかなければならない疾患群に対しても、当院では丁寧な前処置・注意深い検査を行う事で早期発見に努めて参ります。お気軽にご相談下さい。

 

※1.異形成(dysplasia):正常組織とは異なり細胞質・核の大小不同等の異型を伴う細胞の異常形成を示す病理学的用語。

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