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消化管アニサキス症・食中毒・突然の腹痛

[2018.05.26]

院長の松岡です。

夏に向かって徐々に気温が上がり、それとともに湿度も上がっています。食中毒(細菌性腸炎)の方の来院が増えていますので生ものの摂取にはご注意下さい。

 

今週、サバ摂取数時間後の急激な腹痛で来院され内視鏡検査で胃アニサキス症の診断がついた方の来院がありました。内視鏡的に虫体摘出でき、症状の改善を認めました。富山(北陸)は消化管アニサキス症の頻度が多いため、簡単に消化管アニサキス症についてご説明させて頂きます。

 アニサキスanisakiasis症

20~30mm程の糸状の白い寄生虫で十分に肉眼で観察できる大きさです。第Ⅲ期幼虫アニサキスがヒトの消化管に侵入・刺入することでアニサキス症を発症すると言われています。症状は胃>>>小腸>十二指腸>大腸の順の頻度です。本邦での消化管アニサキス症の頻度は高く年間2000~3000件ともいわれています。

 

感染源はイカ、サバ、アジ、イワシ、ニシン、サケ等が有名であり虫体摂取後4~8時間で腹痛・嘔気・嘔吐を来す劇症型と緩和型があります。軽症例では自然に治癒するケースもありますが、小腸に虫体が迷入すると腸閉塞・腸重積といった病態を起こすこともあります。

 

内視鏡的にアニサキス虫体を摘出することにより症状は比較的速やかに快方に向かいますが、消化管内に2匹以上のアニサキス虫体が刺入していることもあり、治療後なかなか症状の改善を認めない場合は内視鏡検査の再検も考慮しなければなりません。ただ、アニサキスが消化管粘膜に刺入する物理的刺激のみが原因ではなくⅠ型・Ⅲ型アレルギーの関与も考えられています。

 

 下記の予防が非常に大切ですが、魚介類摂取後の突然の腹痛、嘔気・嘔吐を認めた場合は速やかな医療機関受診をお勧め致します。

 アニサキス予防方法

加熱調理(60℃、1分以上)が最も有効です。

マイナス20℃で24時間以上の凍結で虫体は死滅しますが、通常の料理で用いるワサビ・醤油・酢などではアニサキスは死滅しません。

シメサバを作る場合、塩じめ工程でマイナス20℃で24時間以上凍結させることも予防法の一つです。

魚介類の内臓に寄生しますので生食は避けましょう。

魚介類を生食する際は、新鮮なものを選び、早期に内臓を除去し、4℃以下の低温での保存が望ましいです。

 

ちなみに米国FDAは生食の魚の取り扱いについて、マイナス35℃以下15時間あるいはマイナス20℃以下7日間の冷凍処理を義務付けています。

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