内視鏡検査時の判断~あきらめる勇気
院長の松岡です。
大腸カメラ挿入困難例①
先日、血便にて大腸カメラ検査をさせて頂き挿入困難な症例を経験しました。色々試行錯誤しましたが同じ部位で同じ理由で挿入困難となりましたので、それ以上の挿入は危険と判断して検査を全行程の2/3ほどの挿入で中止致しました。患者様と相談させて頂き、いつもお世話になっている総合病院内視鏡センター様にコンサルトさせて頂き再挿入予定となりました。大切なことは「なぜ挿入できなかったのかをしっかり検証すること」であり、それが今後の安全な内視鏡診療に繋げられると考えます。
大腸カメラ挿入困難例②
先日いつもお世話になっている総合病院様で便潜血陽性にて大腸内視鏡検査をさせて頂いた話題です。上記①と同様、どんな工夫を行っても全行程の1/2ほどまでしか挿入できない症例を担当させて頂きました。後日シングルバルーン小腸内視鏡:OLYMPUS SIF-H290S(※1)という特殊内視鏡を用いることで終末回腸までしっかり観察することが出来、前回観察できていなかった部位に5病変以上の腫瘍を認め、全て内視鏡治療することが出来ました。
内視鏡検査の4つの要素
現在では内視鏡検査は外来で行う一般的な検査と認知されつつありますが、やはり侵襲のある検査に変わりありません。一瞬の油断・判断ミスがのっぴきならない状況に急展開することもあるため、本当に慎重な対応・その場その場の瞬時の判断が必要不可欠です。
内視鏡検査は「挿入技術」「診断能力」「治療技術」の3つの要素が1つ1つ高い次元で維持されていないと安定した診療を行う事が出来ないと言われています。さらに「場面に適した器材の選択」という4つ目の要素が加わることで辛くない内視鏡検査を高水準で皆様に提供できます。
いつもお世話になっている総合病院の内視鏡センター様には上記4要素を最高水準で維持し、そして日々技術を高めている内視鏡スペシャリストが多数在籍します。これからも先生方から多くのことを教えて頂き自身の技術を高めることで皆様に内視鏡診療を通じて社会貢献したいと考えています。
まつおか内科医院は、多くの胃カメラ・大腸カメラ検査を行わせていただいているからこそ今後もより一層慎重な対応を行って参ります。よろしくお願いします。
※1.シングルバルーン小腸内視鏡(Single-balloon enteroscopy:SBE)
OLYMPUS社からリリースされているSIF-H290Sは「受動湾曲」「高伝達挿入部」を搭載しており、通常大腸内視鏡で挿入困難な症例に対しても安定したトルクの維持が実現でき、高い挿入性を発揮する。