今週の診療260308~ 腸管最適
院長の松岡です。
腸管最適
3月も2週目に入りました。この時期になると健康診断の結果を手に来院される方が増える傾向にあります。今年は昨年と比べても大腸カメラ検査のご相談を多くいただいております。お腹の張りや便通の異常を感じていながらも、つい後回しにしてしまっていた方が、年度末という区切りを機に受診を決意されているようです。当院は、患者さんが抱える不安に寄り添い、できるだけ負担の少ない検査を提供することに力を注いでいます。お腹の健康は全身の活力に直結しますので、気になる症状がある方は、この機会にぜひ当院へご相談ください。
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)とは
大腸カメラ検査とは、肛門から細い内視鏡を挿入して、大腸の内部を直接観察する検査のことです。この検査の最大の目的は、大腸がんの早期発見や、がんになる前の段階である大腸ポリープを見つけ出し、必要に応じてその場で切除することにあります。
大腸がんは、早期に発見できれば完治を目指せる可能性が非常に高い病気ですが、初期段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、検査を通じて粘膜のわずかな変化を捉えることが重要になります。当院では、オリンパス社製の高精細な内視鏡システムを使用し腸内の細部まで丁寧に観察を行っています。
以前に検査を受けて「痛かった」「苦しかった」という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の内視鏡技術や鎮静剤の使用により、以前に比べて格段に楽に検査を受けられるようになっています。当院でも、患者さんがリラックスして検査に臨めるよう、個々の体格や状況に合わせた挿入法・スコープ選択を行う工夫をしています。
大腸カメラ検査が必要になる症状やきっかけ
どのような時に大腸カメラを検討すべきか、迷われる方も多いでしょう。臨床の現場で当院が検査を強くお勧めするのは以下のようなケースです。
- 市区町村の健診や職場の人間ドックで、便潜血検査が陽性になった。
- 便に血が混じる、あるいは排便後に紙に血がつくなどの血便がある。
- 以前と比べて便が細くなった、あるいは下痢と便秘を繰り返すようになった。
- 腹痛が長く続いている、またはお腹の張りが取れない。
- 血縁関係のあるご家族の中に、大腸がんに罹患した方がいる。
特に「便潜血陽性」の結果は、大腸からの何らかの出血を示唆する重要なサインです。痔だと思い込んで放置してしまうことが最も避けたい事態です。一度でも陽性が出た場合は、必ず精密検査としての大腸カメラを受けてください。
また、以前に大腸ポリープを切除したことがある方は新しいポリープができやすい傾向があります。こうした背景をリスク因子(病気を引き起こす原因となるもの)と呼びますが、定期的な経過観察が将来の健康を守る鍵となります。
大腸カメラで発見できる主な病気
大腸カメラ検査を行うことで、多くの疾患を診断したり、病気の状態を否定(その病気ではないと確認すること)したりすることが可能です。
大腸ポリープ
大腸の粘膜の一部が盛り上がった状態です。すべてががんになるわけではありませんが、腺腫と呼ばれるタイプのポリープは、時間をかけてがん化する可能性があります。検査中に発見した場合、その場で切除を行うことで、将来の大腸がんを未然に防ぐ効果が期待できます。
大腸がん
粘膜から発生する悪性腫瘍です。早期がんであれば内視鏡治療だけで根治できることも多いですが、進行すると手術や抗がん剤治療が必要になるケースもあります。早期発見こそがその後の予後(病気のあとの経過や見通し)を大きく左右します。
潰瘍性大腸炎・クローン病
これらは炎症性腸疾患と呼ばれ、腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる病気です。若い世代の方に多く見られることも特徴で、適切な診断と治療によって寛解(症状が落ち着いて安定している状態)を維持することが目標となります。適切に診断することから治療が始まります。
当院の大腸カメラ検査における工夫とこだわり
当院では、患者さんに「これなら毎年受けてもいい」と感じていただけるような検査を目指しています。そのための具体的な取り組みをご紹介します。
1つ目は、鎮静剤を使用した「眠ったような状態」での検査です。意識を軽くぼんやりさせるお薬を使うことで、痛みや不快感を最小限に抑えます。検査後は専用のリカバリールームでゆっくりとお休みいただける環境を整えています。
2つ目は、炭酸ガス送気システムの導入です。通常、観察のために腸を膨らませる際は空気を入れますが、これは検査後のお腹の張りの原因になります。当院では空気よりも数倍吸収が早い炭酸ガスを使用することで、検査後の膨満感を速やかに解消しています。
3つ目は、検査前の下剤(前処置薬)の選択です。大腸を綺麗にするために下剤を飲む必要がありますが、味が苦手という方も少なくありません。当院では、数種類の薬剤の中から、患者さんの体質や好みに合わせたものをご提案し、院内でも安心して服用いただけるスペースを完備しています。
4つ目は、挿入法の選択です。無送気軸保持短縮法という空気を一切入れず腸の負担をかけない挿入法や、挿入法の基本となるshinya method(right turn shortening、hooking the fold)などその腸に最適な挿入法を用いて検査を行います。
5つ目は、ファイバースコープの選択です。腸に適した道具(スコープ)を用いることで苦痛の軽減に努めます。最適解を出すことが安全に正確な検査を行う最重要課題と理解しています。
大腸カメラ検査の料金について
保険診療で行う場合の費用の目安は以下の通りです。窓口負担割合や、検査中にポリープを切除したかどうかによって金額が異なります。
| 検査内容 | 3割負担の目安 | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 観察のみ(組織採取なし) | 約5,000円から7,000円 | 約1,500円から2,500円 |
| 組織採取(病理検査)あり | 約10000円から25,000円 | 約5000円から10000円 |
| 大腸ポリープ切除術 | 約30,000円から45,000円 | 約10000円から15,000円 |
※お薬の処方や事前の採血、鎮静剤の使用有無により前後します。詳細な料金については診察時に丁寧にご説明いたします。
大腸カメラ検査についてのよくある質問
Q1. 検査の時間はどのくらいかかりますか?
A1. 観察のみの場合は15分から20分程度です。ポリープ切除を行う場合は個数や大きさによりますが、さらに10分から20分ほどお時間をいただくことがあります。
Q2. 検査の日は仕事を休む必要がありますか?
A2. 検査自体は日帰りで行えますが、鎮静剤を使用する場合は当日の車の運転や自転車の運転、重要な決断は控えていただく必要があります。また、ポリープを切除した場合は数日間の食事制限や激しい運動を避けていただくため、余裕を持ったスケジュールをお勧めしています。
Q3. 便潜血検査が一度だけ陽性だったのですが、再検査で陰性なら大丈夫ですか?
A3. いいえ、便潜血検査で一度でも陽性が出た場合は、大腸カメラを受けるべきです。病変があっても常に血が出ているわけではないため、たまたま次が陰性になることもあります。一度の陽性を放置しないことが大切です。
3月10日の診療時間変更のお知らせ
当院から大切な連絡がございます。今週の3月10日(火)は17時00分で診察を終了とさせていただきます。
夕方以降の受診を予定されていた患者さんには、多大なるご不便をおかけすることをお詫び申し上げます。お薬の継続が必要な方や、急な体調不良でお困りの方は、お早めの時間帯にご来院いただくか、事前にお電話にてお問い合わせいただけますと幸いです。計画的な受診へのご協力をお願いいたします。
最後に
大腸カメラという言葉を聞くと、どうしても「怖い」「痛い」「恥ずかしい」というイメージが先行してしまうかもしれません。しかしこれまでの数多くの患者さんの内視鏡検査を担当させていただいて感じるのは、検査を終えたあとの皆さんの晴れやかな表情です。
「思っていたよりずっと楽だった」「これで安心できた」というお声をいただくたび、この検査の価値を再確認します。当院は単に技術的に優れた検査を提供するだけでなく、患者さんが安心して検査を受けていただける雰囲気づくりも大切にしています。
当院は、北陸は富山の地域医療を支える一員として、大腸がんという予防可能な病気から一人でも多くの方を守りたいと考えています。当院の強みは、患者さん一人ひとりの苦痛に敏感に反応し、細やかな配慮を欠かさない姿勢にあります。小さな違和感でも構いません。「こんなことで相談してもいいのかな」と思わずに、ぜひ当院にご相談下さい。あなたの健康な毎日を、私たちと一緒に守っていきましょう。
